大濠公園日本庭園を訪ねて 福岡県福岡市

3月のはじめにいった九州では、もう1か所、中根金作氏の代表作のひとつ昭和59年に開園した大濠公園日本庭園にもいってきました。

大濠公園はもとは慶長年間に、博多湾の入り江だった場所を福岡城(舞鶴城)の外濠として埋め立てた場所であるそう。隣接する舞鶴公園側には当時の城跡の大規模な石垣が残されています。

城の外濠とした広大な大濠公園は、公園開園50周年を記念して、昭和59年に12000㎡の敷地に築山林泉回遊式庭園が中根金作氏により新たに作庭されました。

庭園内大池には、三段落ちの滝、渓流の滝、布落ちの滝が落ち、大池内には三神仙島がつくられて、大池から緩い曲水の流れとなって小池へとつながっています。中根金作氏が得意な滝と美しい流れの手腕がここでも発揮されていました。

茶室のほうへは今回は入れませんでしたが、中村昌生先生&中根金作氏でつくられた茶室と露地庭がみられます。茶室建築の権威の故中村昌生先生が中根金作氏について書いていたこの庭園内のエピソードの場所もいつか確認してみたいものですが・・・。

「昭和の小堀遠州」という呼び名は、もともとは何かと一緒に仕事をすることが多かった中村昌生先生が、中根金作氏を称えて命名したもの。なぜ「昭和の小堀遠州」なのかをこの場所もひとつの事例として紹介されていて、中根金作氏をあらわすのにぴったりの命名ゆえに広がり認知されていったのでしょうね。

大濠公園は天気もよく、人も多かったのですが、ゆったりとしたこの日本庭園エリア内は深い緑につつまれ落ち着ける水音の気持ちの良い場所でした。(吉元)